土とともに ‐食の未来は土とともにある‐
menu
右上の写真、まるでスーパーの棚に野菜が並んでいるようですね。これ実はレタスの水耕栽培の風景。
通常は土を使って育てる野菜を、水と液体の肥料を加えた培養液を使って、主に屋内で栽培しています。
近年、天候不順や異常気象など地球規模で環境がどんどん変わり、作物の栽培にも甚大な影響を及ぼしています。
冷夏の影響で葉物野菜が高騰したことも記憶に新しいですね。
そんな中で、注目されているのが水耕栽培です。
水耕栽培の利点は、まず天候や自然環境に左右されにくく、病害虫の被害をあまり受けないこと。
農薬もほぼ必要としません。土を使わないので場所も都心のビルの中で野菜を栽培することも可能です。
ほかにも光や温度など、栽培に必要な条件の管理も、自然の中で行う露地栽培に比べて簡単で、未経験でも農業を始めやすいことなどが挙げられます。
一方で、土を使わずに野菜を育てると、本来の野菜の味や栄養になるのかなど、懸念されることもあります。
露地栽培では、土壌をつくり続けることで、膨大な数の微生物が土に棲みつき、多様な栄養分が豊富に含まれるようになるからです。
また水耕栽培を始めるには、整った設備や人工的なエネルギーを多く必要とするため、初期費用も維持コストも高くなりがち。
水耕栽培の野菜の価格は、露地栽培よりも割高なのが現状です。
さらに、もし水耕栽培を途中でやめてしまったら、残された設備がどうなるかといった心配もあります。
有機農業では、将来にわたって食の恵みを得られるよう、自然の循環の中でいかに持続して作物を育てていけるかが大切な視点です。
これは水耕栽培でも同じこと。新たな技術も取り食入れながら、食の未来をどう守っていくのか、これから考えていきましょう。
日本における有機認証の条件は、農薬や化学肥料などに頼らないことだけではありません。もうひとつ、自然循環機能の維持を図るため、然の力で生産されたものであることが必要です。 動物のふんなどをたい肥として使うことで土壌が改善され、その養分がふたたび生物に吸収されて実りをもたらし、土壌の微生物が多様化する。このように有機農業では、自然界の生物を介在して物質を循環させて作物を育てることが大切なのです。その意味で、世界的に見ても、もやしやかいわれ大根といったスプラウト類などを除けば、水耕栽培の作物を有機認証する国は少ないのが実情です。