土とともに ‐食の未来は土とともにある‐
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秋のしいたけに冬のほうれん草など、日本には四季があり、季節ごとに旬の食べ物を味わうことができますね。「旬のものを食べるとよい」とはよくいわれますが、それには大きく3つの理由があるのをご存じでしょうか。
ひとつ目の理由は、旬のものとはその時季に体が求めるものであること。たとえば暑い時季の夏の野菜は体を冷まし、寒さ厳しい冬の野菜は体を温める働きの傾向があります。野菜自体のおいしさもありますが、私たちの側にも食べておいしく感じる土台ができているのです。
理由のふたつ目は、同じ野菜でも、旬のもののほうが別の時季に栽培したものよりも栄養価が高いことがあります。たとえばほうれん草の場合、夏よりも旬である冬のほうがビタミンCの量はなんと約3倍にも! 日差しが照り付ける夏は、栄養を蓄える前に一気に成長してしまいますが、冬は低温の中で時間をかけてじっくり光合成をするため、栄養価が高くなるのです。
最後の理由が、旬のものは野菜にとって適した時季に収穫するため収穫量が増えること。値段が手ごろになって、手に取りやすくなりますね。
今は旬に限らず、年中多くの野菜を楽しめますよね。地域の気候特性に合わせて産地リレーをすることで、長い期間おいしい野菜を作る工夫をしているのです。一方、本来の気候特性に合わない環境での栽培は、野菜にとっては負担でもあります。病気を防ぐための農薬や、栄養を与えるための化学肥料の大量使用につながることもあるのです。
これほど多くの野菜の旬を味わえるのは、四季がある日本ならでは。安全で安心な毎日の食事で、おいしく元気を手に入れるため、それぞれの野菜の旬を知り、日々の食事に取り入れてみてください。
きゅうりの旬はなぜ夏なのでしょう。私たちが目にする野菜の多くは、そのルーツを世界各地に持ちます。きゅうりの原産地はインドのヒマラヤ山麓。実はこの原産地の気候が日本の夏に近いため、きゅうりの旬は夏なのです。ほかの野菜の旬も原産地の気候と深く関わっており、露地栽培の収穫時季がそれぞれ短期間とはいえ、日本が数々の野菜に恵まれるのは、ひとえに四季があるおかげなのです。
※野菜の原産地については諸説あります。