土とともに ‐食の未来は土とともにある‐
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「腸内フローラ」という言葉を耳にしたことはありますか? 人の体には非常に多くの微生物(菌)が存在していて、中でも腸内には1000種以上、100兆~1000兆個もの微生物がすみ、その様子がお花畑に似ていることから、腸内フローラと呼ばれているそうです。
微生物は大きく善玉菌・悪玉菌・日和見菌に分けられます。「悪玉菌はいらない!」と思ったら大間違い。善玉菌とエネルギーのやり取りをしたり、強力な病原菌が侵入したときは一緒に退治したり、体にとっては必要な存在です。ただ、たんぱく質を消化する際に有害物質を発生させるため、増え過ぎると困った存在になることも。腸内環境が良い状態は、腸内細菌の多様性とバランスによって決まるのです。そして、この腸内環境は免疫機能やメンタルにまで影響を及ぼすことがわかってきています。
実はこの多様性とバランスという考え方は、土においても同じです。土の中、植物の根の周りにはさまざまな微生物がいて、植物も微生物も互いに養分のやり取りをすることで、「共生」という関係が保たれています。
ところが、1つの畑に同じ植物を栽培し続けるなどで、特定の微生物が土中に増え、根の周りに居座ると「共生」の関係が崩れて、植物に害をなす「寄生」状態になってしまうこともあるのです。そのため、輪作や緑肥、たい肥を使って土中細菌のバランスを整えることが土づくりの重要なテーマなのです。
本来、植物の根に欠かせない共生関係にあった微生物が、あるときには「病原菌」として根を弱らせる原因となることもある。どの菌が、どういう条件で、どんな働きをするかは、わかっていないことがたくさんあります。人や土の健康に非常に重要な微生物の世界は、まだまだ未知の領域がある奥深いものなのです。
腸内や土の中の環境を整え、悪玉菌の増殖やそれによってできる毒性物質の発生を抑えます。
善玉菌でも悪玉菌でもない存在ですが、少しでも勢力の強いほうを応援します。ちょっと悪玉菌が多くなると、腸内や土の中は悪玉菌の勢力に支配されることになります。
病気の原因になったり、毒性物質を作ったりします。しかし不要な存在ではなく、たとえば人の場合は消化吸収の助けになるなど、不可欠な存在でもあります。