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ワタミオーガニック新聞 
第12回Newspaper

野菜をどう選びますか?

いい野菜ってどんな野菜のことなのでしょう?

スーパーの野菜はなぜきれいなの?

 色とりどりの野菜が並ぶ、スーパーの野菜売り場。おいしそうな野菜を選ぶのもひとつの楽しみですよね。でも農産物なのに、大きさや形がきれいにそろって虫もいない……。不思議に思うことはありませんか? なぜなのでしょう。

 理由のひとつは、流通の中で不ぞろいなものが敬遠されるため。形がいびつで箱に納まらないと、運ぶ効率が落ちてしまうのです。もうひとつの大きな理由は、私たち自身が野菜を見た目のきれいさで選ぶから。きれいな野菜を選ぶのは自然なことですが、その裏で年間約183万トン(※1)もの野菜が流通されず、多くが廃棄される現実もあるのです。

野菜の見た目に世界 一 うるさい日本人

 日本人は、野菜の形や見た目に世界一うるさいといわれます。野菜に少しでも虫が付いていると、騒ぎになりますね。実は日本は、世界的にも農薬の使用量が多い国。イギリスやドイツと比べると、農地面積あたりの農薬使用量は3倍以上(※2)にもなります。高温多湿な気候や、作物ごとの影響もありますが、きれいな形の野菜を求める消費者の要望に応えてきた結果でもあるのです。

 たとえば皮に虫食いがあると避けがちですね。ただ野菜を作る側からすると、虫を取る労力に限界があり、費用もかけられないなら、殺虫剤に頼らざるを得なくなります。有機農業では、人の手で除草作業をする費用が、野菜の価格が上がる要因になっているのも事実です。より安価に提供するために、除草剤をまいて人の手がかかる部分を減らしたり、化学肥料を使って短期で大量の収穫を目指したりするのも、当然の流れなのかもしれません。

 本来は、誰も農薬や化学肥料が過剰に使われた野菜を欲してはいないはずです。しかし、私たちが何気なく行う選択が、結果として栽培や流通の方法に影響を与えることもあるのですね。毎日の野菜の選び方を、少しだけ気にしてみてはいかがでしょう。

※1 農林水産省「作物統計調査 令和元年産」の野菜(41品目)の収穫量と出荷量の差より算出。 ※2 FAO「FAOSTAT」 Pesticide use in active ingredient on arable land and permanent crops より農林水産省作成の数値(2009年)を参照

消費者の求めることが、栽培や流通の方法にもつながっています

殺菌剤・化学肥料・除草剤を使って対応します

※イラストはイメージです。

殺菌剤・化学肥料・除草剤を使って対応します

旬ではない時季に栽培すると病気になりやすく、栄養も不足しがちなため、殺菌剤や化学肥料の使用が増えます。また草取りなどの手間が増えると価格が上がるため、草を生やさない除草剤を使うことになります。


殺虫剤・ワックスを使って対応します

※イラストはイメージです。

殺虫剤・ワックスを使って対応します

人の手で虫を取るのには限界があります。虫をまったく付けないためには殺虫剤がどうしても必要。そのほか、見た目を良くするため、ツヤ出しにワックスを塗ることもあります。

果物などのワックスは、鮮度を維持するために使われています

果物などのワックスは、鮮度を維持するために使われています

 レモンなど柑橘系の果物に、しばしば塗られているワックス。ワックスが使われる理由は、鮮度落ちが早い果実から水分が蒸発するのを抑えるため。特に輸入品などのように流通期間が長い生果には、鮮度を維持する目的で使われます。なおワックスは農薬と異なり、食品添加物としての許可を得ており基本的に安全なものです。ただ本来は不要なのに、ツヤを出すためだけに使われるものもあり、見極めが必要です。

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