土とともに ‐食の未来は土とともにある‐
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この冬の始まり、抜けるような青空の下、群馬県にあるワタミファーム倉渕農場は収穫作業の真っ最中。農場のメンバーが畑に入り、一つひとつていねいに土を払って箱に詰めるのは、昨年の春から一大プロジェクトとして栽培してきた「きく芋」です。
ワタミは、2002年から「安全・安心な食材をお届けしたい」との思いから、有機農業に取り組んできました。これまでに作ってきたのは、外食店舗のサラダ向けに、レタスやキャベツ、人参など。その中で「もっと有機農業が、環境にも体にも良いことを伝えていきたい」と注目したのが、きく芋なのです。
きく芋といっても多くの方は、まだ聞き慣れない名称だと思います。きく芋は一般的な芋類と異なり、デンプン質をほとんど含んでいません。代わりにイヌリンと呼ばれる水溶性食物繊維が豊富です。これは食生活が偏りがちで健康の悩みが多い現代人に、とても大切な栄養素。近年は健康野菜として注目を集めています。
「無事に収穫できて、ほっとしています」と、収穫したきく芋を手に笑顔を見せるのは、倉渕農場の堀内尚生。昨年の春から、きく芋作りに挑戦してきましたが、すべてが手探りだったそうです。
「きく芋は国内でも栽培する方が少なく、どう育てるのが最適かまだよくわかっていないんです。作付けの時期を変えたり、畝間を変えたりと、試行錯誤を重ねました」
堀内が、きく芋栽培で何より驚かされたのは、その生命力の強さだったといいます。
「病害虫が付きにくく、放っておくと背丈が3〜4メートルにもなります。夏に、手作業で背丈を短くする刈落としを、2回は行いました。それでも気づけばすぐに成長しますから、生命力の塊のような野菜です(笑)」
ところが収穫した後のきく芋は、とても繊細な野菜に早変わり。普通の芋類は、収穫後に冷暗所で長期間保存できます。それがきく芋は日持ちがしない。収穫した瞬間から味も色合いも落ちていってしまうのです。
「まるで葉物野菜のように鮮度が命。一気に全部を掘るのではなく、加工場のスケジュールに合わせて人員を調整し、何列か掘っては出荷してを繰り返す。収穫の時期がいちばん気を使いますね」
今回は刈落としタイミングで収穫に差が出るなど、改善点も見つかりました。また、きく芋栽培は全国5か所の農場で行ったため、その比較も重要です。収穫を終えても行うことは盛りだくさん。それでも「新しいことを、工夫しながら挑戦するのは楽しい」と堀内。「僕たちが作ったきく芋は、これから商品化されていきますので、皆さまもぜひ、召し上がってみてください」
ワタミが目指すのは「体のもとから元気にする、未来をつくる商品」をお届けすること。それを地球にも環境にもやさしい有機栽培で、今注目のきく芋を作ることで実現しようとしているのです。
昨年の春から取り組んできたきく芋も、ようやく一度目の収穫を行いました。実は、これからが本番です。
まずは、ワタミファームで収穫したきく芋をきく芋茶などに商品化し、皆さまのお手元に届くように。そして今回の経験を踏まえて、作付けの土選びや収穫タイミングなどを見直し、次の冬にはさらに良いきく芋ができるように。「きく芋で日本を元気にする!」を合言葉に、「きく芋プロジェクト」はまだまだ続きます。
有機栽培で約1年がかりで育てたきく芋を、香ばしくてほんのり甘みを感じるお茶に。良質な食物繊維・イヌリンを摂ることが、おいしく手軽に習慣にできます。商品化を進めていますので、ぜひお楽しみに。