土とともに ‐食の未来は土とともにある‐
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7月、ワタミファーム倉渕農場ではキャベツの収穫真っ只中。まるまると大きく育ったキャベツは瑞々しく、ずっしりとした重みが自然の恵みを感じさせます。この生育に欠かせないのが〝土〞です。
自然界で〝土〞は、食物連鎖の中で育まれてきました。微生物が土壌の有機物を分解し、植物が吸収、成長。育った植物は昆虫や小動物に食べられ、小動物は肉食動物に、そして、その死骸やふん、枯葉は有機物として土に還ります。この有機物が微生物を増やし、ますます土の栄養を豊かにする。この循環が健康な土をつくるのです(下イラスト参照)。
健康な土壌では、植物が育ち、動物が草を食み、朽ちて微生物が繁栄し、分解されてまた植物が育ちます。
一方、農業は育った作物を収穫し、その後還元されないため、有機物を土に還し、微生物を増やすことが欠かせません。
農業は、土の栄養を吸収した作物を収穫する活動。本来土に還るはずの有機物を畑から持ち出し、人が食べる。これは、循環のサイクルを分断させることでもあるのですね。何もしなければ土の栄養はどんどん枯れ、やがて作物は育たなくなります。
畑に栄養を補う方法のひとつに、化学肥料があります。化学肥料は作物の成長を早め、大量に、同じものを育てられるというメリットがあります。しかし、有機物を含まないため、作物は成長しても、土壌の微生物は増えず、生態系のバランスが崩れます。すると、病害虫の被害を受けやすくなり、その対処のため農薬の必要性が高まります。農薬の使用はさらに土壌の生物に影響を与え、土が持つ栄養を生みだす力はどんどん失われます。
一方、化学肥料の代わりに動物のふんや枯葉などから作った堆肥などの有機物を投入するのが有機農業です。食物連鎖に欠かせない土壌微生物を増やし、生態系を活かすことで食物が育つ環境をつくります。殺虫剤や除草剤は使わない。だから、土壌微生物がますます増える。食物連鎖による循環を崩さないことで健康な土を永続的に育むことができるのです。
野菜くずやもみがら、牛ふんなどの有機物を、微生物が分解したものが「堆肥」です。
有機物に土壌菌(微生物)を加え、自然と同じようにたっぷりと時間をかけて、土の栄養へと変えています。